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秘密保護法案 ②特定秘密
際限なく拡大解釈可能
特定秘密保護法案では、政府が持っている膨大な情報の中から「特定秘密」を指定し、それを公務員らが漏らしたり、不正に聞き出すと、最高で懲役十年という厳罰の対象となる。しかも、その範囲が際限なく広がっていく懸念もある。
「特定秘密」とは何か。政府原案では、①防衛②外交③特定有害活動(スパイ行為などを指す)の防止④テロの防止-の四分野の情報のうち、「国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあるもの」と定めている。
原案には四分野ごとに項目も記され、「防衛」の最初の項目は「自衛隊の運用、これに関する見積もり、計画、研究」。このような抽象的な表現が多く、幅広い情報を「特定秘密」に指定できる余地を残す。「国の安全保障に著しい支障を与える恐れ」という条件も、「国の安全保障」にはさまざまな定義があり、広範囲な解釈が可能だ。
さらに問題なのは、どの情報を特定秘密とするかは、大臣などの「行政機関の長」の判断に委ねられることだ。政府のさじ加減で、厳罰の対象になる情報が決まる。
例えば、原発は、事故が起これば「国の安全保障」を揺るがす事態をもたらし、テロ組織に狙われる可能性も否定できない。それを口実に、原発に関する情報が「特定秘密」に指定されないとも限らない。外交でも、環太平洋連携協定(TPP)など、国民生活に影響が大きい情報が指定される可能性がある。
米国では、国立公文書館の情報保全監察局が適切な機密指定かどうかを監視。局長は大統領の承認で任命され、監察権や機密の解除請求権が与えられている。だが、秘密保護法案には、こうした仕組みはない。
政府は「原発やTPPは特定秘密保護法の対象外だ」と説明し、怒意(しい)的に指定しないように運用指針も定めるという。
だが、上智大の田島泰彦教授(憲法)は「原発や放射能などの情報は、国にとって重要度が高い。幅広く指定できる構造の法案が変わらない限り『対象にならない』といくら説明しても信用されない」と指摘。運用指針も守られているかチェックする仕組みがなく「実質的な意味はない」と批判する。
(金杉貴雄)
「特定秘密」とは
政府が保有する情報
行政機関の長が判断指定
特定秘密
国の安全保障
・外交
・防衛
・テロ活動の防止
・特定有害活動の防止
原発の関連情報
TPPの情報
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